日蓮宗の開祖である日蓮聖人が遺したお言葉は、心豊かに生きる知恵が詰まっています。
今回ご紹介するのは、『観心本尊抄』の一節です。
御遺文 原文
天晴れぬれば地明かなり。法華を識る者は世法を得べきか。一念三千を識らざる者には仏大慈悲を起し、五字の内に此の珠をつつみ、末代幼稚の頚にかけさしめたもう。
・御遺文名『観心本尊抄』
・弘安元年(1273年)
・日蓮聖人 52歳
御遺文 現代語訳
天が晴れるならば大地は曇りなく明るくなる。そのように法華経の教えを知る者は、世間の法を得ることができるのであろうか。
法華経の教えである一念三千を理解できない者に釈尊は大慈悲の心を起こし、妙法蓮華経の五字の中にこの一念三千の珠をつつんで、宗教的に未熟な末代衆生の首におかけくださっておられる。
御遺文 解説
お釈迦さまは、末法の時代(お釈迦さまの教えが失われつつある暗黒の時代)に生きる私たちに、限りない慈悲を注いでくださっています。
日頃信仰していても、未熟な私たちが、お釈迦さまと同じような悟りの境地に到達することができるのか、という疑問が生まれてきます。
そこで日蓮聖人は、私たちはお釈迦さまの救いの中にあるとこ、お釈迦さまは私たちの心の中にいることをお示しくださいました。
その救いは、一念三千の珠を内包した南無妙法蓮華経のお題目をたもつことによって確かなものになると、おしゃっています。
一念三千について
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南無妙法蓮華経
【参考文献】
「1日1訓 日蓮聖人のお言葉」
著:渡辺宝陽
発行:日蓮宗新聞社
「1日1訓 日蓮聖人のお言葉」
著:渡辺宝陽
発行:日蓮宗新聞社