日蓮宗の開祖である日蓮聖人が遺したお言葉(御遺文)は、心豊かに生きる知恵が詰まっています。
今回ご紹介するのは、『崇峻天皇御書』の一節です。
御遺文 原文
蔵の財よりも身の財すぐれたり。身の財より心の財第一なり。
・御遺文名『崇峻天皇御書』
・建治3年(1277年)
・日蓮聖人 56歳
・四条金吾 宛
御遺文 現代語訳
蔵に所蔵してある財宝よりも、身体が健康であることが大切である。身体の健康よりも心が豊かであることが一番の宝である。
御遺文 解説
これは、日蓮聖人の最も有力な信者の一人である四条金吾に宛てたお便りの一節です。
四条金吾は、北条家に仕える優秀な武士であり、日蓮聖人が龍口で法難にあった際は、ともに殉死しようとするほど熱心な信者でもありました。しかし、その一方で、とても気の短い性格でした。
日蓮聖人は、四条金吾の短気で怒りっぽい性格を案じ、いかに熱い想いがあっても、そういった性格であれば人に嫌な思いをさせてしまう。今までの言動を反省し「心の財」を積むことが第一と諭されました。
この一節は、私たちの普段の行いのあり方を示しています。
地位や名誉、お金に執着しがちですが、それらはあの世には持っていくことができません。亡くなった時に持っていけるものは「心の財」だけです。
心の財とは、生きている間に積んだ功徳、心の豊かさのことをいいます。この財は、来世で生まれ変わっても備わって蓄えられていくことでしょう。
南無妙法蓮華経