Column No.053
仏教を信する者の行いで最も大切なことは、布施です。
布施とは「見返りを求めない行い」のことをいいます。
葬儀や法事、行事のときに、布施といってお金を納めますが、これだけが布施ではありません。
また、布施したからといって自慢したり、見返りを求めるものではないのです。
本当の布施とは
布施の本来の意味は、苦しみ、困っている人に、慈悲の気持ちで何かを与えることです。
仏教では最も重要で欠かすことができないのが、布施です。
しかも、繰り返しになりますが、布施を行っても見返りを求めたり、自慢したりしては布施ではありません。
布施をした自分、布施を受けた人、布施した物、この三つを自分の心に留めない、忘れてしまう気持ち、これが本当の布施といえます。
布施の方法
布施というとお金、物を差し上げることと考える人が大半と思いますが、そうではありません。
布施には、色々な方法があります。
- 身施(シンセ・自分で動いて、働いて奉仕する)
- 心施(シンセ・相手を思いやる)
- 眼施(ガンセ・優しいまなざし)
- 和顔施(ワガンセ・慈愛に満ちた表情)
- 言施(ゴンセ・心のこもった言葉づかい)
- 床座施(ショウザセ・座等を譲る)
など多くあります。これらは誰でも容易にできることだと思います。
最上の布施とは
布施の中で最上の行いは何か。
それは「無畏施(ムイセ)」といい、不安、恐怖などを取り除いてあげることです。
他人が恐れているとき、それを取り除くことは難しいことですが、少しでも恐れ、不安をなくすように努力することです。
苦しんでいる人のそばにいてあげる。
悩みを聞いてあげる。
何が手伝ってあげる。
完全に相手の悩みや苦しみが取れなくても、自分の出来るだけのことをしてあげることが、最上の布施になります。
繰り返しますが、見返りを求めては決していけません。
相手に何かしてあげて、役に立つ。そこまででよいのです。
これだけしてあげたのだからと、何かを求めたり、感謝の言葉などを期待してはいけません。
相手が「ありがとう」を言わなくても、怒ってはいけません。
それでは布施になりません。
この布施行をすることによって、私たちの魂が磨かれていき、仏の境地に近づいていくのです。
平成29(2017年)年07月01日発行 第79号より