column No.038
お釈迦さまが説いたお経の中に、①依法不依人 ②依智不依識という教えがあります。
①依法不依人(えほうふえにん)
法によって人に依らずとは、特に信仰の面では大切なことです。
お釈迦さまの教え(お経)を、人が教え通り間違いなく説けば良いのですが、勝手に解釈したり、曲解(曲げて)解釈したり、誤解して人に喋ったり、教えたりすれば、お釈迦さまの本当の教えが伝わらず、仏になる(悟る)ことも出来なくなります。
ですから私たちは、信仰では常にお経にこの様に書いてあるという根拠を見出して勉強し、信仰することが大切です。
例えば信仰の指導者が、自分に都合よく解釈して教えを説けば、信徒が迷ってしまい、だますことにもなります。
日蓮聖人も当然、依法不依人の態度で我々に教化してくださっています。これはとても大切なことです。
②依智不依識(えちふえしき)
智によって識によらずとは、知識ばかりに頼っていてはいけないということです。
我々の知識などいくら勉強したといっても、世の中の事全て知ることは不可能です。
例えば日本の国の歴史、法律、経済、政治、宗教、言語等、全て解っている人はいません。
宗教でも仏教、キリスト教、イスラム教等数多く有ります。仏教でもお釈迦様の教えを全部精通している人はいないと思います。まして他の事までも、それに全世界の国々の歴史、言語、政治、風習等分かるわけがありません。不可能なことです。
皆、自分が勉強し経験し、理解した事を中心に物事を考え、判断しています。その為に対立、争い、大きくなると戦争が起こってしまいます。
このように知識で解決することは必ず、不平不満を持つ人ができてしまうのです。
知識も大切なことですが、本当の平和な世の中をつくるにはやはり、仏の智慧(仏智)によらなければならないと思います。
仏の智慧を得るには身・口・意にお題目を唱える他ありません。私たちには仏の智慧を得る可能性を持っているのです。
一人でも多くお題目を唱える人を育てていくことが、私たち信仰者のつとめです。
平成21(2009年)年07月17日発行 第63号より