釈迦の心⑪ – 私たちのなかに全てが含まれる

圓福寺だよりコラム「仏音」

column No.024

 

全てがみな深く関係し合って「一つ」

理の一念三千とは、日常のちょっとした思いの中に時間(過去から未来まで)と空間(宇宙の果てまで全部)を超えて全ての事柄が具わっている、ということを前回説明しました。

これは、全てのものはお互いに、力、刺激となって作用し、影響し、これが因となって互いに縁となり結果を現すわけです。

私たちは、全宇宙の全てのものと無関係ではいられないのです。

お互いにもちつもたれつで、深く関わっていて別個の存在ではなく、みな全てが深く関係し合って「一つ」ということです。

9月11日にアメリカの世界貿易センタービルが破壊され、大変な衝撃、比類のない出来事でした。

この事で亡くなった方々、その家族、知人、世界中の人々が恐怖・怒りに震えました。

また、経済的な面でも航空会社をはじめ、あらゆるところに影響が出ています。

炭疸菌による恐怖、アフガンでの攻撃による不幸な人々も多勢います。このことは世界貿易センタービルに飛行機が突っ込んだことによって、水紋が広がるように影響が拡大してしまいます。

 

多くの恩恵を受け生きている

このような出来事は、悪い・嫌なことが結果、報いとして出てきます。

このことでも、自分だけは別で何の影響もないという人はいないと思います。

私たちは、多勢の人々、動物、植物、太陽、星、月、大地、水、空気・・全てのおかげで、そして遠い昔からの人々の築いたものの上に立って、多くの恩恵を受けています。

これらの全てが、今の私たちの中に居るのです。小さな人間一人一人の中に全宇宙が入っているということです。

この一念三千を悟ること、全宇宙の中に自分が入って同体となることが、私たちお釈迦さまの教えを信じる者の理想、つまり成仏です。

 

 

平成14(2002年)年01月01日発行 第48号より