column No.021
最も大切な教え、一念三千(いちねんさんぜん)とはどんな教えか。
まず、十界ということから説明していきます。
十界(じっかい)とは
十界とは、私たちの心の境地、気持の持ち方を十種類に分けています。
上から、
①仏界(ぶっかい)
ずでに悟り、他の人も悟リヘ導びいている仏様の境地
②菩薩界(ぼさつかい)
他の人を導きながら、自分の悟りに向かって修業している境地
③縁覚界(えんがくかい)
自然の因縁消滅する様をみて自分だけ悟る境地
④声聞界(しょうもんかい)
釈迦の教えを耳にして、自分だけ悟リヘ向う境地
縁覚・声聞界は人生の無常を感じ生きる意義を見失う、虚無的な面も持つ
⑤天界(てんかい)
天の世界、よろこびの境地
⑥人界(にんかい)
人間の世界の境地
⑦修羅界(しゅらかい)
争い、戦争などを中心とする境地
⑧畜生界(ちくしょうかい)
互いに相手を餌食として殺し合う境地
⑨餓鬼界(がきかい)
貧欲で、いつも飢えに苦しぬ境地
⑩地獄界(じごくかい)
苦しみが最も強い境地
そして、私たちは常に心の境地が上下しています。
十界のそれぞれが互いに具わり合う「十界互具」
ある時は、他人に対して、慈悲の気持で損得抜きで一生懸命奉仕することもあります。仏様のような気持です。
反対に、怒ったり争ったり、むさぼりの気持になったり。自己中心になり他人の事など、眼中に無くなるときもあります。
ほとんどの人達が、同じように気持を行ったり来たりさせています。
つまり、十界互具(じっかいごぐ)といって、私たちの気持が十界の中で揺れ動いているのは、私たちの心の中に十界の全てが具(そな)わっているからなのです。
十界互具とは、十界のそれぞれが互いに具わり合っているということです。
仏界の中にも仏界から地獄界、菩薩界の中にも仏界から地獄界、地獄界の中にも仏界から地獄界がそれぞれ具わっています。
十界に十界があるのですから百界になります。
次号にて、方便品第二に出てくる、十如是(じゅうにょぜ)について説明します。
十如是も一念三千を説明する上で大切な意味があります。
平成13(2001年)年01月13日発行 第45号より